この時期に有名なバレエ作品と言えば、

「くるみ割り人形」ですね。

ロシア語では、

Щелкунчик シルクンチクと言います。

 

バレエの作品には、

一つの作品に対して数多くの振付家が振付します。

 

現役時代、

私も様々な振付家の作品を踊り、

色々な配役を任されました。

 

今回はそれにまつわる思い出エピソード。

華やかな舞台裏の世界をご紹介します。

 

一番数を踊ったのは、

やはりこの作品でスペイン公演へ行った、

コメディ劇場時代のくるみ割り人形。

(いつか海外公演についても記事にしますね。

お楽しみに。。。)

 

ここでの思い出といえば、

やはり早着替えでしょうか。

 

一幕ではネズミ役から雪の衣装へ。

そして短い休憩時間で二幕の中国の衣装へ。

 

ネズミ役はポワントまで灰色。

衣装、ポワントのみならず、

雪の白いカツラまで付けなくてはならず、

毎度毎度、

踊りより早着替えに勝負をかける! 舞台でした。

 

次に生涯忘れることはないほど根強く、

記憶に残っているものと言えば、

ミンスクボリショイバレエ団時代のくるみ割り人形。

(今回の写真はミンスクボリショイバレエ団のくるみ割り人形のプログラムです)

 

当時の芸術監督 ヴァレンチン・エリザリエフ版は、

主役はもちろん、

ソリスト、コールドまで全ての振付が、

体力的にキツく、テクニック的に難しく、

毎回、舞台前は不安で生きた心地がしなかった。。。

 

さらに不安を倍増させるものがもう一つ。

 

ニ幕では冒頭から舞台に出ていて、

床の上に座って自分の出番まで待つ。

(座布団一枚は敷いてあったかな。。。)

 

やはり、踊る直前はどこか体を動かしたい。

動いていたい。。。

 

アラビアの踊りは薄暗く、少々長い。

その後、一気に明るくなり、

日本人形の自分の出番になる。

 

ずっと座っていてからの最初の動きが、

いきなりジャンブ、そして空中ジャンプで一回転。

そこからジャンプでアンボワテ アントゥールナン、

エシャッペ ソテ2番から、2回転トゥール、、、

この勢いのままフィナーレを迎える。

 

ロシアの冬はマイナス二桁。

部屋の中は半袖でも平気なくらい暖かいと言われてるが、

さすがにずっと舞台に座っていれば、

つま先は冷たくなる。

 

自分の出番まで、

背筋伸ばし腹筋入れてみたり、

トゥーシューズの中でつま先を動かしてみたり、

とにかく気持ちが落ち着かない。。。

 

けど周りの皆んなは、

喋っていたり、くつろいでいたり、

私にはとうてい真似出来ないし、

ロシア人にはこういう所が敵わない。

 

そして現役を引退するきっかけともなり、

私にとって最後のくるみ割り人形の作品が、

NBAバレエ団時代での長野公演のくるみ割り人形。

 

疲労骨折に悩まされてどうにか踊りきったクララ役。

 

初めて訪れたのに懐かしく居心地の良かった長野。

 

程よい緊張感の中、

落ち着いて終わることが出来た、

最後のくるみ割り人形の舞台であった。

 

生きていれば必ずある数々の試練。

 

現役時代に培った、

精神、体力ともに鍛えられた経験は、

今もなお日常生活で役立っている。

 

バレエは特別なことは何も無く、

日常生活と同じ。

 

地道なレッスンを一つずつ丁寧に行うのは、

容易な事ではない。

 

そしてその先にある厳しいプロの世界。

 

この時期には必ず思い出してしまう、

現役時代のくるみ割り人形。

 

振付の違うくるみ割り人形を見比べるのも楽しいですよ!